こんばんは、そうでない人はこんにちは、TATEです。
今回は宝島社文庫から販売されている、岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』を紹介させていただきます。

今作は京都の一角にある珈琲店『タレーラン』の女性バリスタが謎を解く日常ミステリーになります。
主人公はアオヤマという男で、理想の珈琲を求めてタレーランに行き着きました。
そこで偶然にも頭を悩ませる事態に遭遇し、女性バリスタこと切間美星が見事に謎を解き明かします。

理想の珈琲を淹れる美星と、その聡明な頭脳に惹かれて、アオヤマはタレーランの常連となります。

あらすじ

京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅力的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり――。

岡崎琢磨 珈琲店タレーランの事件簿また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を 宝島社文庫 裏表紙より

本書は連作短編なのですが、最後に主軸の謎を解くという構成になっています。

今作だと、美星の過去が主軸の謎になり、各話に細かい謎が散りばめられており、最後の最後で『こういうことか』と喉が呻ります。

ちなみに、このシリーズはアオヤマと美星との出会いから始まるので、日常ミステリーとしても、青春ミステリーとしても見応えがあります。

では、各話をリストアップしていきます。

  • 第一章 事件は二度目の来店で
  • 第二章 ビタースウィート・ブラック
  • 第三章 乳白色にハートを秘める
  • 第四章 盤上チェイス
  • 第五章 past, present, f*****?
  • 第六章 Animals in the closed room
  • 第七章 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

一つ一つの話がしっかりしているので、結構さくさく読めてしまうと思います。
珈琲の豆知識などもあり、小技が効いていて面白いですよ。

冒頭

――出会った!
もう少しで僕は、思わず叫んでしまうところだった。
古めかしい喫茶店のフロアに、客はたったの一人だけ。BGMのジャズミュージックが虚空を虚しく空回りするほか、店内に響く音はといえば、カウンターの億にたたずむ老人――マスター、とでも呼びたくなる風貌だ――が扱う食器の立てるそれくらいだ。

岡崎琢磨 珈琲店タレーランの事件簿また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を 宝島社文庫 p.8より

アオヤマが初めてタレーランに足を踏み入れた場面から始まります。

女性バリスタの虜になったアオヤマは、この直後に面倒な事態に巻き込まれます。
アオヤマ的には『運命の粋な計らい』なんて言っています。
主観的と客観的には齟齬が発生するなんていうのは良くある話で、自分が良ければいいの一言に尽きますね。

どんな人にオススメ?

  • 日常・青春ミステリーが好き
  • 珈琲が好き
  • 主人公とヒロインの爽快な会話が見たい。
  • 読みやすい日常・青春ミステリーなので、小説に慣れてきた中高生

そんなあなたにオススメです。

ちなみに、本編は360ページになります。

僕の感想

末巻に解説があるのですが、そこに『「このミステリーがすごい!」の最終選考まで残った作品である。惜しくも受賞を逃したが、全面的な改稿を経て出版された』と書いてあります。

『このミステリーがすごい!』といえば、ミステリー小説に人生を賭けている猛者が集う場所で、この公募で最終選考まで残るというのはとてもすごいことです。
この時点でミステリー小説としての出来は申し分ないわけです。
それを改稿して出版しているので、僕たちが読む『珈琲店タレーランの事件簿』は熟成された面白さを放っています。

ミステリー小説としても良いのですが、僕としてはアオヤマと美星の軽快な会話の応酬が心地良いんですよね。
新本格のようにガッチリしていない文体なので、自分が『タレーラン』に訪れたかのように読むことができます。

あとは、個人的なのですが、ヒロインの髪型がボブ!
これに尽きますね。
ヒロインが知的で可愛いんですよ。

僕は今まで珈琲に無縁の生活をしていたのですが、この作品を読んでから『珈琲豆』『ハンドミル』『マキネッタ』を買って、自分で珈琲を淹れるようになりました。

生活に影響を及ぼすような作品です。

というわけで、そろそろ今回の紹介を終わりたいと思います。

岡崎琢磨 宝島社 2012年08月
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