こんばんは、そうでない人はこんにちは、TATEです。
今回は講談社文庫から販売されている、川瀬七緖『法医昆虫学捜査官』を紹介させていただきます。

今作は日本では認知されていない『法医昆虫学』というものを扱った刑事小説になります。

法医昆虫学とは、遺体に付いた虫を検分することで、死亡推定時刻や道筋を辿るという学問なのですが、日本は地域差が激しいうえに事件も少ないので、学問にするには情報が足りないようです。

欧州などでは活用されているようですけどね。

刑事×法医昆虫学の組み合わせで犯人を追い詰める様は、他の刑事物とは違った面白さがあります。

あらすじ

放火殺人が疑われるアパート全焼事件で、異様な事実が判明する。炭化した焼死体の腹腔に、大量の蠅の幼虫が蠢いていたのだ。混乱に陥った警視庁は、日本で初めて「法医昆虫学」の導入を決断する。捜査に起用されたのは、赤堀涼子という女性学者である「虫の声」を聴く彼女は、いったい何を見抜くのか!?

川瀬七緖 法医昆虫学捜査官 講談社文庫 裏表紙より

焼死体から大量の蛆虫が出てきても、普通なら『死体からいっぱい蛆虫が出てきた』で終わると思うんですよ。
でも、蛆虫を観察すると死亡推定時刻が割り出せるのです。

蛆虫は脱皮しながら大きくなり、その脱皮の数で『一齢』や『二齢』と呼びます。
そして、蠅は遺体が現れてから約十分で卵を産みます。

このことを踏まえて遺体に付いていた蛆虫を観察すると、死亡推定時刻が割り出せるのです。

今作は刑事の岩楯と、法医昆虫学捜査官の赤堀の出会いの事件なので、法医昆虫学について一段と詳しく知ることができます。

冒頭

冷気で満たされた室内には、焦げた肉の臭いが漂っている。生焼けで、しかも腐敗が始まっているように感じられた。この手の臭いの粒子は、最低でも二日は鼻の奥に居座り続けるはずだ。

川瀬七緖 法医昆虫学捜査官 講談社文庫 p.7より

焼死体を司法解剖しているシーンから始まります。

刑事の岩楯は、遺体の司法解剖に付き合うという性分を持っています。
司法解剖の結果は書類でも見れるのですが、岩楯は『直で見ることで何か発見できるかもしれない』と、刑事のプライドを持って真剣に向き合っているのです。

この時の遺体の腹腔から、ボールのように群がっている大量の蛆虫を発見します。

なかなかショッキングなシーンから始まるわけですが、インパクトたっぷりで魅せる構成ですね。

どんな人にオススメ?

  • 刑事小説が好き
  • 虫が好き
  • 法医昆虫学捜査官というものが気になる
  • 普通の刑事小説に飽きた
  • 司法解剖に興味がある
  • 法医昆虫学を題材にした真っ当な刑事小説なので、高校生以上の方

そんなあなたにオススメです。

ちなみに、本編は479ページになります。

僕の感想

タイトルを目にした時は、正直期待していませんでした。
『どうせ奇をてらった小説なんだろう』と。

しかし、読んでみると僕の抱いた考えは間違いだったと気付かされました。

これほど『法医昆虫学』について真剣に取り組んでいる作品は他にはないと思います。
他のミステリー小説と比べても、『自分で選んだ題材』に対する川瀬七緖の熱量が感じられます。

文章は比較的読みやすいように書かれていますし、法医昆虫学捜査官の赤堀は『変人』として親しみやすいキャラクターとして描かれ、それをサポートする岩楯は刑事としてのプライドを持つデカです。

全てにおいて惹かれる演出と構成なんですよね。

あと、『死体はどう経過するのか』ということに興味があるなら読んだ方が良い一冊です。

僕は法医学や検死の本を持っているのですが、虫の動向までは載っていないんですよね。

文庫本になっている法医昆虫学捜査官シリーズは全て読みましたが、今作のような家もあれば山もあり海もあり、現場次第で虫の動向も変わります。
それを観察して真実に辿り着く赤堀。

シリーズ全作品面白いですよ。

というわけで、そろそろ今回の紹介を終わりたいと思います。

川瀬 七緒 講談社 2014年08月13日
売り上げランキング :
by ヨメレバ